幼児が切り替えで癇癪を起こすときは、泣くのをすぐ止めようとするより、終わり方と次の行動を先に見える形にすることが大切です。遊びから学習、動画から片づけ、登園前の準備、寝る前の流れへ移る場面で泣くのは、わがままだけではなく、見通しの弱さ、疲れ、言葉にできない気持ち、予定の詰め込みが重なっていることがあります。

「もう終わり」と言った瞬間に床に寝そべる。「片づけよう」と言うと大声で泣く。少しだけワークをしようとしても、クレヨンを投げてしまう。保護者は、学びを続けたほうがよいのか、今日はやめたほうがよいのか、どこまで受け止めてどこから線を引くのか迷いやすいものです。

この記事では、幼児が切り替えで泣く理由、家庭で先に確認したい条件、声かけ・絵カード・タイマー・環境調整の比較、今日からできる5ステップ、場面別の整え方をまとめます。特定の教材や教室を急いで選ぶ前に、家庭での切り替えが少し軽くなる土台を作るための記事です。

結論:癇癪を止めるより、切り替えの前後を見える化する

切り替え前に予告し、終わりを決め、次を選べるようにする流れを示した図
泣き始めてから止めるより、切り替え前に流れを見せておくほうが親子の負担を下げやすくなります。

幼児の切り替えで最初に変えたいのは、「泣かない子にすること」ではありません。大切なのは、子どもが「今の遊びはいつ終わるのか」「終わったあとに何をするのか」「自分にも少し選べる余地があるのか」を感じられるようにすることです。切り替えは、子どもにとって急な別れのように感じられることがあります。楽しい遊び、好きな動画、抱っこ、絵本、園から帰ったあとの自由時間は、子どもにとって安心できる世界です。その世界を急に閉じられると、まだ気持ちが追いつかず、泣く、怒る、逃げるという形で出ることがあります。

保護者が「言えば分かるはず」と思っている場面でも、幼児には言葉だけでは足りない場合があります。「あと5分」「もうすぐ」「片づけたら次」といった言葉は、大人には自然でも、子どもには長さや順番が見えにくいことがあります。そこで、絵カード、写真、タイマー、砂時計、終わりの箱、シール表などを使い、言葉を目で見える形にします。見える形にすると、保護者が何度も言わなくても、子どもが次を確認しやすくなります。

たとえば、遊びを終えてワークに移るなら、いきなり「勉強するよ」と言わず、「ブロックを3個入れたら終わり」「そのあとシールを1枚貼る」「終わったら絵本を1ページ読む」と短く区切ります。ワークを長く続けることより、遊びから机に移る経験を作ることが目的です。切り替えそのものが難しい時期には、学習量を増やすより、移る流れを育てるほうが現実的です。

癇癪が起きたあとに長く説得すると、親子ともに疲れます。泣いている最中は、理由を説明しても入りにくいことがあります。まずは安全を確保し、声を低く短くし、「ここで待つね」「終わったら水を飲もう」「落ち着いたらカードを見よう」と、次の小さな行動だけ示します。落ち着いたあとに、なぜ泣いたかを尋問するより、「急に終わるのが嫌だったね」「次は先にカードを見よう」と振り返るほうが、次につながります。

幼児期の学びは、毎日同じように進むものではありません。泣いた日、疲れている日、園で頑張った日、保護者が忙しい日は、同じ方法でもうまくいかないことがあります。だからこそ、学びを「泣かなかった日にだけできるもの」にせず、泣いた日でも戻れる小さな入口を作っておきます。絵本1ページ、シール1枚、片づけ1個、鉛筆を持つだけでも、切り替えの経験としては意味があります。

今日いちばん先に変えるなら何か

最初に変えるなら、声かけの量ではなく、切り替えの予告です。「あとで」「もうすぐ」ではなく、「この歌が終わったら」「ブロックを3個箱に入れたら」「砂が下まで落ちたら」のように、終わりが見える合図にします。次に、終わったあとの行動を一つだけ示します。「片づけて、トイレに行って、着替えて、靴を履いて」とまとめると負担が大きいため、「まず靴下を選ぶ」くらいまで小さくします。

子どもに選ばせる範囲も、広すぎると迷います。「何したい?」ではなく、「赤いカードと青いカード、どちらから見る?」「鉛筆とクレヨン、どちらで丸をつける?」のように二択にします。選べることは、子どもにとって自分の気持ちを残せる手がかりになります。保護者が全部決めるより、切り替えの抵抗が少し弱まることがあります。

うまくいかなかった日は、練習を増やすより記録を残します。いつ、何から何へ移る場面で泣いたのか、眠そうだったか、空腹だったか、音や光が強かったか、前に予告したかを短くメモします。記録があると、「この子はいつも切り替えができない」という大きな不安ではなく、「夕方の動画終わりが特に難しい」「園から帰った直後は休憩が必要」という具体的な条件が見えてきます。

なぜ切り替えで泣く?幼児がつまずきやすい理由

幼児が切り替えで泣く理由を急な終わり、疲れ、言葉の未熟さに分けた図
切り替えで泣く理由を分けると、叱る前に変えられる条件が見つかります。

幼児が切り替えで泣く理由は、一つではありません。よくあるのは、楽しいことが急に終わるつらさです。大人でも、集中していた作業を急に止められると不快になります。幼児はまだ気持ちを切り替える言葉や経験が少ないため、その不快感が泣く、怒る、物を投げる、逃げるという行動で出やすくなります。これは「分かっているのにわざとしている」とは限りません。

二つ目は、疲れや空腹です。園で長く過ごしたあと、外遊びで体力を使ったあと、昼寝が短かった日、夕食前、寝る前は、子どもの余力が少なくなります。余力が少ないときに「少しだけ勉強しよう」「早く片づけよう」と言われると、普段ならできる子でも崩れやすくなります。切り替えの練習は、体力が残っている時間に短く試すほうが向いています。

三つ目は、言葉で気持ちを説明しにくいことです。「もっと遊びたい」「急に言われて嫌だった」「何をすればよいか分からない」「失敗しそうで怖い」という気持ちを、幼児がそのまま言葉にできるとは限りません。保護者から見ると突然の癇癪でも、子どもの中ではいくつもの小さな困りごとが重なっていることがあります。

四つ目は、切り替え先への不安です。遊びからワークへ移るとき、子どもは「できないかもしれない」「怒られるかもしれない」「長く座らされるかもしれない」と感じることがあります。過去に学習で叱られた経験があると、机に向かう前から抵抗が強くなることもあります。学びそのものが嫌なのではなく、始まったあとに何が起きるか分からない不安が強い場合もあります。

五つ目は、終わり方のルールが日によって変わることです。昨日は動画をもう1本見られたのに、今日は見られない。前は泣いたら延長されたのに、今日は延長されない。大人の都合でルールが変わると、子どもはどこまで泣けばよいのかを試す形になることがあります。厳しくするという意味ではなく、終わりの合図と例外の扱いを保護者側でそろえることが必要です。

「わがまま」と決める前に見ること

切り替えの癇癪をすぐ「わがまま」と決めると、対応が叱る方向に寄りやすくなります。もちろん、すべてを子どもの希望通りにする必要はありません。ただし、叱る前に、予告はあったか、終わりは見えていたか、次の行動は分かっていたか、眠さや空腹はなかったかを確認します。条件が整っていないなら、子どもだけを責めても改善しにくくなります。

保護者の声が大きくなっている日も、切り替えは難しくなります。急いでいる朝や疲れた夜は、大人の言葉も強くなりがちです。「早く」「何回言ったの」「いい加減にして」という言葉が続くと、子どもは行動を変える前に防御的になります。短く、同じ言葉で、淡々と伝えるほうが、かえって届きやすいことがあります。

また、幼児は「終わり」を悲しむことがあります。大人から見ると小さな遊びでも、子どもにとっては作っていた世界が終わる瞬間です。その気持ちを認める言葉があるだけで、次へ移りやすくなることがあります。「まだ作りたかったね」「ここまでできたね」「写真を撮って残そう」と言ってから終えると、遊びが完全に消える感覚を少し和らげられます。

まず確認したい家庭の条件と相談の目安

切り替え支援の前に眠さ、空腹、予定の詰めすぎ、相談の目安を確認する図
切り替えの練習を増やす前に、生活条件と相談の目安を先に確認します。

切り替えの工夫を試す前に、まず家庭の条件を見ます。睡眠が足りない、食事の時間がずれている、帰宅後すぐに習い事や学習を入れている、きょうだいの予定に合わせて急がせている、保護者自身にも余裕がない。こうした条件が重なると、どんな声かけも入りにくくなります。幼児の切り替えは、根性やしつけだけではなく、生活の余白に大きく影響されます。

特に夕方は注意が必要です。園で集団生活を終えたあと、子どもは見た目より疲れていることがあります。帰宅直後に「手を洗って、着替えて、片づけて、ワークをして」と続くと、切り替えの回数が多すぎます。夕方に学びを置くなら、まず水を飲む、抱っこする、5分だけ静かに遊ぶなど、休憩を挟んでからにします。学びを続けたい家庭ほど、休憩を予定に入れることが大切です。

保護者が確認したい条件は、次のように分けると整理しやすくなります。

  • 眠さ:昼寝、就寝時刻、朝の起き方が大きく崩れていないか。
  • 空腹:食事やおやつの前後で癇癪が増えていないか。
  • 予定:切り替える回数が一日に多すぎないか。
  • 刺激:テレビ、動画、音、明るさ、おもちゃの量が多すぎないか。
  • 不安:次にすることが見えず、毎回急に言われていないか。
  • 保護者の余裕:急ぐ時間帯に新しい練習を入れていないか。

家庭でできる工夫をしても、強い癇癪が毎日のように長く続く、本人や家族がけがをしそうになる、睡眠や食事に大きく影響している、園でも同じ困りが強い、保護者が対応に限界を感じている場合は、家庭だけで抱え込まないでください。園の先生、自治体の子育て相談、乳幼児健診の相談先、かかりつけ医などに、具体的な場面を共有します。相談は、子どもを決めつけるためではなく、家庭でできる手を増やすためのものです。

相談するときに伝えるとよいこと

相談するときは、「癇癪がひどいです」だけでなく、場面を具体的に伝えると話が進みやすくなります。いつ起きるのか、何から何へ切り替える場面なのか、どれくらい続くのか、どんな声かけで少し落ち着くのか、睡眠や食事の様子はどうか、園ではどうかをメモします。動画を撮る必要はありませんが、短い記録があると、家庭と園で同じ見方をしやすくなります。

相談先から助言を受けたら、全部を一度に変えないことも大切です。生活リズム、環境、声かけ、学習量を同時に変えると、どれが合っていたのか分かりにくくなります。まずは一つだけ変え、数日様子を見ます。子どもが少しでも動きやすくなった条件を見つけることが、次の支援につながります。

比較表:声かけ・絵カード・タイマー・環境調整

声かけ、絵カード、環境調整を使い分ける比較の考え方を示した図
切り替え支援は、子どもの反応と家庭の負担を見ながら道具を使い分けます。

切り替えを助ける方法は、どれか一つが万能ではありません。声かけだけで動ける子もいれば、絵カードがあると安心する子、タイマーが合う子、タイマーの音が苦手な子もいます。教材や習い事を増やす前に、家庭の中で使える支援を同じ条件で比べると、何から試すか決めやすくなります。

方法 向いている場面 注意点 最初の試し方
短い声かけ 次の行動がほぼ分かっている場面 説明が長いと入りにくい 「あと1回で終わり」「次は手洗い」だけにする
絵カード・写真 順番や予定が見えないと不安になる場面 カードが多いと選べない 「今」「次」の2枚から始める
タイマー・砂時計 終わりの合図を目で見たい場面 音が怖い子、鳴ると怒る子もいる 音なし、短め、親が一緒に見る形にする
環境調整 おもちゃや動画から離れにくい場面 急に全部片づけると反発が強い 使う物を一つだけ出し、終わった物を箱に入れる
休憩を挟む 疲れ、空腹、園帰り、寝る前 休憩が長すぎると戻りにくい 水を飲む、抱っこ、深呼吸、絵本1ページにする

声かけは、短く同じ言葉を使うほど安定します。「何回言えば分かるの」ではなく、「あと1回」「箱に入れる」「次は水」のように、行動だけを伝えます。説明や説得は、落ち着いてからで十分です。泣き始めたあとに理由を長く話すと、子どもはさらに混乱することがあります。

絵カードは、きれいに作る必要はありません。手描きでも、写真でも、付箋でも構いません。大切なのは、保護者が毎回同じ場所に置き、同じ流れで使うことです。最初から朝の準備を10枚並べると多すぎる場合があります。「今は遊び」「次は片づけ」の2枚で始め、慣れたら「そのあと手洗い」を足します。

タイマーは、合う子にはとても役立ちますが、音が苦手な子には負担になります。鳴った瞬間に泣く場合は、音を消す、砂時計にする、親が「もうすぐ終わりだね」と先に知らせる、鳴ったあとに最後の一手だけ許すなど、使い方を変えます。タイマーは子どもを急かす道具ではなく、終わりを一緒に見る道具として使います。

環境調整は、保護者の声かけを減らすためにも有効です。おもちゃが全部出ている状態で「片づけて」と言うより、今日使う箱を一つだけ決めるほうが動きやすくなります。学習に移るときも、机の上にワーク、鉛筆、シールだけを置き、ほかの物を視界から減らします。子どもの意思の弱さではなく、目に入る物が多すぎて移れない場合もあります。

家庭に合う方法を選ぶチェックリスト

  • 保護者が毎日用意できるくらい簡単か。
  • 子どもが見るだけで次を思い出せるか。
  • 泣いたあとにも使えるくらい刺激が少ないか。
  • できた日だけでなく、できなかった日も責めずに戻せるか。
  • 園や家族にも共有しやすい言葉や道具か。

家庭でできる5ステップ:小さく切り替える手順

切り替え前に予告し、選ばせ、できた経験を残す5分の手順を示した図
最初の目標は長く学ぶことではなく、短く移れて終われる経験を作ることです。

切り替えを家庭で整えるときは、難しい日にも戻れる手順にします。毎回完璧に進める必要はありません。むしろ、泣いた日にも「ここまでなら戻れる」という形を作ることが大切です。次の5ステップは、遊びから学習、動画から片づけ、帰宅後から手洗いなど、いろいろな場面に応用できます。

  1. 切り替えの場面を一つに絞る。 まずは朝、夕方、寝る前のすべてを直そうとせず、一番困っている場面を一つ選びます。
  2. 終わりの合図を決める。 「あと1回」「このページまで」「砂が落ちたら」など、子どもが見たり感じたりできる合図にします。
  3. 次の行動を小さくする。 「勉強する」ではなく、「椅子に座る」「丸を一つつける」「シールを貼る」まで小さくします。
  4. 二択を用意する。 「先に鉛筆にする?クレヨンにする?」「赤いカードから見る?青いカードから見る?」のように選べる範囲を狭くします。
  5. できたところで終わる。 予定より少なくても、切り替えられたら一度終わります。長く続けるより、戻れる経験を残します。

この手順で大切なのは、泣かなかったかどうかだけを成功にしないことです。少し泣いたけれどカードを見られた、抱っこのあと椅子に座れた、ワークはできなかったけれど鉛筆を選べた。これらも切り替えの途中にある成功です。成功の幅を広げると、保護者も子どもも「今日も全部だめだった」と感じにくくなります。

切り替えが難しい子には、始める前の余白が必要です。たとえば、遊びからワークに移る前に「写真を撮ってから終わる」「作った物を棚に置く」「明日また使う箱に入れる」といった終わり方を作ります。遊びを乱暴に終わらせず、続きが残る形にすると、子どもは次へ移りやすくなります。

学習量は、最初から少なくします。絵本を最後まで読む、ワークを1ページ終える、ひらがなを何度も書く、数のプリントを全部解くといった目標は、切り替えが安定してからで構いません。今は、机に近づく、座る、1問見る、シールを貼る、できたカードを裏返すなど、学びに戻る入口を作る時期です。

保護者の言葉は、実況にします。「泣かないで」より「終わりが嫌だったね」、「早くして」より「今は靴下を選ぶ時間だね」、「ちゃんとして」より「箱に一つ入れたね」と言います。実況は、子どもを評価しすぎず、今している行動を分かりやすくします。子どもが落ち着いている日には、「次はどうしたら分かりやすい?」と一緒にカードを作るのもよい方法です。

うまくいかなかった日の戻し方

泣いてしまった日は、反省会を長くしないことが大切です。保護者が疲れていると、「どうしてできないの」「約束したでしょ」と言いたくなります。しかし、幼児は感情が落ち着いたあとでも、長い説明を受け止めるのは難しい場合があります。振り返りは短く、「急に終わって嫌だったね。次はカードを先に見るね」と一文で終えます。

翌日は、同じ量をもう一度求めるのではなく、さらに小さくします。昨日ワーク1ページで泣いたなら、今日はシール1枚だけ。動画終わりで泣いたなら、今日は動画の前に「終わったら水を飲む」カードを見せるだけ。切り替えの練習は、階段を一段戻るほど続けやすくなります。

保護者が強く叱ってしまった日も、そこで終わりではありません。「さっき大きな声になったね。次はカードで伝えるね」と、保護者側の次の工夫を短く伝えます。大人が完璧である必要はありません。親子で戻れる形を持っていることが、長く見れば一番の支えになります。

ケース別:遊び、学習、登園前、寝る前の整え方

遊びの終わり、学習前の休憩、寝る前の刺激を減らす場面別の対応を示した図
同じ子どもでも、場面が変わると合う対応も変わります。

切り替えの困り方は、場面によって変わります。遊びを終える場面、学習を始める場面、登園前の準備、寝る前の片づけを同じ方法で整えようとすると、うまくいかないことがあります。場面ごとに、子どもが何を失うと感じているのか、何が見えないのか、どの刺激が強いのかを分けて考えます。

遊びを終えるとき

遊びを終えるときは、作品や遊びの続きが消えないようにします。ブロックなら写真を撮る、途中の物をトレーに置く、続きをする箱を作る、人形遊びなら「ここでおやすみ」と区切るなど、終わりの儀式を作ります。「片づけなさい」だけだと、子どもには自分の世界を壊されるように感じられることがあります。

片づけは全部ではなく、一つから始めます。「青いブロックだけ箱に入れる」「車を2台だけ駐車場に戻す」「絵本を1冊だけ棚に置く」と小さくします。全部片づける前に一度できたことを認めると、次の一つに進みやすくなります。

学習に移るとき

学習に移るときは、内容より入口を軽くします。椅子に座る、鉛筆を選ぶ、シールを貼る、絵本を開く、今日の日付に丸をつける。こうした入口だけで終わる日があっても構いません。切り替えで泣く子にとって、机に向かうまでが一番大きな山であることがあります。

学習を嫌がる背景に、難しすぎる課題がある場合もあります。文字を書く力がまだ育っていないのに長く書かせる、数を理解する前にプリントを進める、集中が続かない時間帯に座らせると、切り替え前から不安になります。学びの内容は、子どもが少しできるところまで戻します。

登園前に動けないとき

登園前は、保護者も時間に追われるため、切り替えがこじれやすい場面です。朝に新しい練習を入れるより、前日の夜に準備を減らします。服を二択にしておく、持ち物を玄関近くに置く、朝のカードを「起きる」「食べる」「着替える」「出る」の4枚にするなど、朝の判断を減らします。

朝は、説明より順番です。「早くしないと遅れるよ」と言うより、カードを指して「今は着替え」「次は靴」と伝えます。泣き始めたら、登園の不安、眠さ、服の違和感、朝食の量なども見ます。毎朝同じ場面で強く崩れるなら、園にも共有し、登園時の受け渡し方法を相談します。

寝る前に荒れるとき

寝る前は、刺激を増やさないことが重要です。寝る前に動画、激しい遊び、長いワーク、新しい教材を入れると、切り替えが難しくなる場合があります。寝る前の学びは、絵本1ページ、今日できたことを一つ話す、明日のカードを一枚選ぶくらいにします。学習量を増やすより、安心して終わることを優先します。

寝る前の癇癪は、疲れのサインでもあります。ここで長く叱ると、眠るまでの流れがさらに崩れます。「今日はここまで」「明日また見るね」と短く終わり、部屋の明るさ、音、寝る前の流れを整えます。寝る前にうまくいかないことは、翌日の午前や休日に回しても構いません。

よくある質問

切り替えで泣く幼児への叱り方、年齢差、相談先を確認するFAQ図
よくある迷いは、叱るかどうかだけでなく、条件と相談先に分けて考えます。

Q. 癇癪を起こしたら、すぐに叱ったほうがよいですか?

A. 危ない行動は止めますが、泣いている最中の長い説教は避け、まず落ち着ける形を作ります。

物を投げる、道路へ飛び出す、きょうだいを強くたたくなど危険がある場合は、短く止めて安全を確保します。ただし、泣いている最中に理由を長く説明しても入りにくいことがあります。「ここに置くよ」「待っているね」「落ち着いたら水を飲もう」と短く伝え、あとで「次は終わりカードを先に見よう」と振り返ります。

Q. 泣けば延長できると思わせないためにはどうすればよいですか?

A. 終わりの合図を事前に決め、延長する場合も条件をそろえます。

毎回泣いたあとに延長すると、子どもは泣くことで状況が変わると学ぶことがあります。一方で、急に終わらせると不安も強くなります。最初に「この1回で終わり」「砂が落ちたら終わり」と見せ、終わったあとは次の行動へ移ります。延長する日があるなら、「今日は休日だからあと1回」と理由を短く伝え、毎回の例外にしないようにします。

Q. 何歳くらいまで切り替えで泣くのはよくありますか?

A. 年齢だけでは決められません。頻度、強さ、生活への影響、園での様子を合わせて見ます。

幼児期は気持ちの切り替えに個人差があります。年齢だけで「もう泣かないはず」と決めるより、どの場面で起きるか、どれくらい続くか、落ち着いたあとに戻れるか、園でも同じ困りがあるかを見ます。家庭の工夫で少しずつ戻れるなら、焦って練習を増やしすぎないことも大切です。

Q. 園や相談先には、どのタイミングで話せばよいですか?

A. 家庭だけでつらい、毎日長く続く、生活や安全に影響する場合は早めに共有してかまいません。

相談は、診断を急ぐためではなく、家庭だけで抱え込まないためのものです。園ではどうか、家庭ではいつ起きるか、眠さや空腹との関係、落ち着きやすい方法を伝えると、同じ見方で支えやすくなります。保護者が疲れ切っている場合も、相談する十分な理由になります。

まとめ:泣いた日も学びは小さく続けられる

泣いた日も戻れる入口を残し、親子で休みながら明日につなげるまとめ図
切り替えが難しい日は、学びを小さくして戻れる入口を残します。

幼児が切り替えで癇癪を起こすときは、学びを無理に押し切るより、終わりと次の行動を見える形にすることから始めます。泣くことをすぐ悪いことと決めず、急に終わったのか、疲れていたのか、次が見えなかったのか、学習への不安があったのかを分けて見ます。理由が分かれると、家庭で変えられる条件も見えます。

今日できることは、一つだけで十分です。遊びを終える前に写真を撮る。絵カードを2枚だけ置く。タイマーを音なしで使う。ワークは1問ではなく、鉛筆を選ぶだけにする。寝る前は学習を増やさず、絵本1ページで終える。こうした小さな調整が、親子げんかを減らし、学びに戻る力を育てます。

切り替えは、毎日同じようには進みません。泣いた日も、保護者が強く言いすぎた日も、そこで全部失敗ではありません。明日は一段小さくして、戻れる入口を残せば大丈夫です。家庭だけで抱えきれないほど困りが強い場合は、園や地域の相談先に状況を共有してください。家庭の学びは、親子が安心して続けられる形に整えていくものです。

次に確認する4つの入口

近い悩みを続けて読むなら、幼児の家庭学習が続かないときの生活リズム時計が読めない幼児への時間感覚の育て方机に座れない幼児の短い練習から確認できます。選ぶ前の条件を整理したい場合は、小学校入学前の準備チェックリストも役立ちます。

学び方を比べる前には、家庭の時間帯、親子の負担、子どもの不安の強さ、相談先の有無をそろえて見ます。口コミや評判を見るときも、「うちの子と同じ困り方か」「家庭で続けられる量か」「切り替えの支援があるか」を確認すると、焦って選ばずに済みます。

この記事で確認したこと

  • 幼児期の学びは、遊び、生活、健康、人との関わりとつながっている前提で整理しました。
  • 癇癪や切り替えの困りは個人差があるため、本文では診断や医学的判断を行っていません。
  • 特定の教材、教室、講座、料金、効果を断定せず、家庭で確認できる条件に絞りました。
  • 家庭だけでつらい場合は、園、自治体の子育て相談、健診の相談先、かかりつけ医に確認する前提にしました。

参考にした公的情報:文部科学省「幼稚園教育要領」文部科学省「幼稚園教育要領解説」厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」