英語が苦手な中学生・高校生は、最初から全部をやり直すより、単語、文法、音読、長文のどこで止まっているかを分け、学校の範囲に近い小さな単元から戻すのが現実的です。苦手の原因を一つに決めつけず、「読めない」「訳せない」「覚えられない」「問題になると使えない」を分けて見ると、本人も保護者も今日やることを選びやすくなります。
英語は、学年が上がるほど一度の授業で扱う情報が増えます。中学生では単語、基本文、教科書本文、リスニング、英作文が同時に出てきます。高校生になると文の長さ、抽象的な語彙、文構造、読解量が増え、「前は何となくできたのに急に読めなくなった」と感じることもあります。本人は「英語が無理」と言い、保護者は「単語を覚えていないからでは」と考えがちですが、実際には複数のつまずきが重なっていることが多いです。
この記事では、英語が苦手な中学生・高校生が何から戻せばよいかを、家庭で確認しやすい順番で整理します。学校の授業や定期テストに合わせる方法、短期間で最低限立て直す方法、長文やリスニングの苦手を分ける方法、保護者の声かけの注意点まで扱います。本文中の手順は、特定の教材やサービスを前提にせず、今ある教科書、学校ワーク、ノート、単語帳から始められる形にしています。
結論:英語は「全部やり直し」ではなく、つまずき場所から戻す
英語をやり直すときに最初に避けたいのは、「中1の最初から全部やり直す」と決めてしまうことです。もちろん基礎に戻る必要がある場面はありますが、範囲が広すぎると、最初の数日で疲れて止まりやすくなります。今の授業やテストに関係する範囲から、少しだけ前に戻るほうが、学校の提出物や点数にもつながりやすく、本人の納得感も出やすいです。
たとえば、現在完了が分からない高校生が、いきなり中1のbe動詞から全範囲を戻す必要があるとは限りません。まずは、主語と動詞が見分けられるか、過去分詞の形を覚えているか、教科書本文の1文を声に出して読めるかを確認します。中学生で三単現や過去形が苦手なら、単語の意味だけでなく、文の中で動詞がどう変わるかを見る必要があります。
「英語が苦手」を4つの困り方に分ける
家庭で最初に見るのは、本人がどの場面で止まるかです。単語を見ても意味が出てこないのか、単語は分かるのに文になると訳せないのか、説明を聞けば分かるが問題になると選べないのか、長文になると集中が切れるのか。これを分けずに「英語が苦手」とまとめると、対策が毎回ぶれます。
確認は難しいテスト問題でなくて構いません。学校の教科書本文から5文だけ選び、まず声に出して読む、意味をざっくり言う、主語と動詞に線を引く、分からない単語を丸で囲む。この4つを見るだけでも、戻る場所がかなり見えます。音読で止まるなら文字と音のつながり、意味で止まるなら語彙、主語と動詞で止まるなら文法、最後まで読めないなら量と集中の問題を疑います。
戻る範囲は「今の単元の一つ前」から始める
戻る範囲を決めるときは、今の単元の一つ前、または同じ文法が初めて出てきた単元から始めます。中2の不定詞で止まっているなら、動詞の意味、目的語、want toの形から見る。高校英文法で関係代名詞が苦手なら、名詞を説明する文の形や、主語と動詞の数から見る。前に戻るといっても、全学年を広げる必要はありません。
この戻り方の利点は、本人が「今の授業とつながっている」と感じやすいことです。昔の範囲だけを延々と解くと、今の授業に追いつけない不安が残ります。今の単元に必要な前提だけを戻し、分かったらすぐ教科書本文や学校ワークに戻る。この往復を作ると、やり直しが現実の学習と切り離されにくくなります。
完璧に分かるまで進まない、も止まりやすい
苦手を立て直すとき、「完璧に分かってから次へ」と考える家庭もあります。ただ、英語は一度で覚え切る教科ではありません。単語も文法も、読んだり聞いたり書いたりする中で少しずつ定着します。完璧を待つと、最初の単元で長く止まり、本人の気持ちが重くなることがあります。
目安は、教科書本文の短い一段落を見て、知らない単語を確認しながら大意が取れる程度です。問題集で全問正解するまで待つ必要はありません。分からなかった問題に印をつけ、翌日もう一度見る形にすれば、前に進みながら戻れます。英語の苦手は、一度の大きな復習より、短い確認を何度も回すほうが立て直しやすいです。
苦手が続く理由は、単語・文法・読む量が混ざるから
英語が苦手な状態が続く理由の一つは、困りごとが混ざって見えることです。単語を覚えていないから長文が読めないこともあれば、単語は分かるのに文のつながりが読めないこともあります。文法問題は解けるのに、本文になると読む量に押されて意味を取り違えることもあります。
本人が「単語が無理」と言っていても、実は発音とつづりが結びついていないだけかもしれません。「文法が分からない」と言っていても、説明文の用語が難しく、例文を見れば使える場合もあります。逆に、保護者が「単語だけ覚えればいい」と考えても、文の順番や時制が分からなければ得点に結びつきにくいです。
単語は「意味を隠して言える」だけでは足りないことがある
単語練習では、日本語を隠して意味を言えるかを確認する家庭が多いです。これは大切ですが、それだけでは本文で使えないことがあります。英語を見て意味が分かる、発音できる、つづりを書ける、文の中でどんな役割か分かる。この4つは似ているようで別の力です。
短期間で戻すなら、すべてを一度に完璧にしようとせず、まず「英語を見て意味が分かる」「声に出せる」を優先します。定期テストで書く問題が多い場合は、つづりも必要ですが、読めない単語をいきなり何十回も書かせると疲れます。1日10語を声に出し、例文で使い、翌日にもう一度見るほうが続きやすいです。
文法は用語より「文の形」で見る
文法が苦手な生徒は、説明に出てくる用語で止まることがあります。主語、動詞、目的語、補語、現在完了、関係代名詞などの言葉だけを聞くと難しく感じます。家庭では、用語を増やす前に、例文のどこが変わっているかを見るほうが入りやすいです。
たとえば、I play tennis. と I played tennis. を並べ、どこが変わったかを確認します。She likes music. と Does she like music? を並べ、疑問文で何が前に出るかを見る。高校生なら、This is a book. と This is the book that I bought yesterday. を並べ、名詞の後ろから説明が増えていることを見る。文法は、まず形の違いを見つける練習にすると、問題集へ進みやすくなります。
長文が読めない原因は、英語力だけとは限らない
長文が苦手な場合、単語や文法だけでなく、読み方の問題もあります。最初から一語一語を完璧に訳そうとして時間が足りない、段落ごとの話題を見失う、設問を読まずに本文へ入り迷子になる、知らない単語で止まり続けるなどです。長文が嫌いな生徒ほど、読む前の準備を短く入れるだけで負担が下がります。
長文では、最初にタイトル、設問、注の語句を見ます。次に、各段落の最初の文だけを軽く読み、話題をつかみます。その後で本文を読み、分からない単語に出会っても一度印をつけて先へ進みます。全部を訳す練習も必要ですが、テストでは限られた時間で大意を取る場面が多いため、読み方の練習も英語の立て直しに含めます。
リスニングは耳だけでなく文字とのつながりを見る
リスニングが苦手な場合、「聞き取る力」だけの問題に見えます。しかし、実際には読めない単語は聞き取りにくく、文の形が分からないと聞こえた語を意味に変えにくいです。耳だけを鍛えようとして音声を流し続けても、本人がただ疲れることがあります。
戻すときは、短い本文を文字で見て意味を確認し、音声を聞き、同じ文をまねて読む順番にします。音声だけ、文字だけに分けず、文字と音をつなげると、聞こえる部分が増えやすくなります。長い音声より、教科書の短い会話文や本文の一段落で十分です。
判断前に確認する条件は、学年・期限・目標の3つ
英語の戻し方は、学年、次のテストまでの期限、本人の目標で変わります。中1の最初の英語に苦手意識がある場合と、高2で長文量に追いつけない場合では、見る場所が違います。1週間後に定期テストがある場合と、3か月かけて受験準備を始める場合でも、優先順位は変わります。
まず、今の目的を一つに絞ります。次の定期テストで平均点に近づきたいのか、授業で当てられても止まらないようにしたいのか、受験に向けて基礎を戻したいのか、英語への嫌悪感を下げたいのか。目的を混ぜると、単語も文法も長文もリスニングも全部必要に見え、始める前に重くなります。
中学生は教科書本文と学校ワークを中心に戻す
中学生の場合、定期テストや授業の理解を立て直すなら、まず教科書本文と学校ワークを中心にします。市販教材を増やす前に、学校で扱った本文を読めるか、基本文が言えるか、ワークの間違いを直せるかを見るほうが、学校の評価や提出物にもつながりやすいです。
中1で止まっているなら、アルファベット、音と文字、be動詞、一般動詞、疑問文、否定文を短く確認します。中2以降なら、過去形、未来表現、不定詞、動名詞、比較、受け身など、今の単元につながる前提を一つだけ戻します。単元名を広く並べるより、教科書本文の中で使われている形を見つけるほうが実用的です。
高校生は単語量と文構造を分けて見る
高校生は、単語量が増え、文が長くなり、文章の内容も抽象的になります。そのため、ただ単語帳を回すだけでは読みやすくならないことがあります。単語を知らないのか、文の骨組みが取れないのか、段落の流れが追えないのかを分けます。
高校生の立て直しでは、1文を短く切って読む練習が有効です。主語と動詞を見つける、接続詞や関係代名詞の前後を分ける、修飾語をかっこで囲む、段落ごとに一言メモを置く。こうした作業は地味ですが、長文で何をしてよいか分からない状態を減らします。
テストまでの残り日数でやることを変える
テストまで1週間しかない場合、全範囲の基礎を広く戻すより、出題される教科書本文、単語、ワークの間違い直しを優先します。2週間あるなら、1週目に単語と本文音読、2週目にワークと類題演習へ進みます。1か月以上あるなら、苦手単元を戻しながら、週末に長文やリスニングを少し入れます。
期限が近いほど、「分かるようにする」より「テストで落としやすいところを減らす」視点が必要です。英作文や並べ替えが出るなら基本文を声に出して覚える。長文が出るなら、設問を先に見る練習をする。リスニングが出るなら、教科書音声や短い英文を文字と一緒に確認する。期限に合わせて、やることを小さくします。
保護者が確認するのは点数ではなく材料
保護者が最初に点数だけを見ると、本人は責められていると感じやすくなります。見るべき材料は、範囲表、学校ワーク、返却されたテスト、ノート、単語練習の量、本人が止まる問題です。「何点だったか」より、「どの問題で止まったか」「何を見れば解けたか」「次に同じ問題を見たら何をするか」を一緒に確認します。
この確認は長くしないほうがよいです。10分で材料を出し、今日やることを一つ決め、終わったら声をかけすぎずに切り上げます。英語が苦手な子ほど、勉強前の話し合いが長いと疲れてしまいます。話す時間より、実際に読む、書く、直す時間を確保します。
戻り方の選択肢を比較する
英語の戻し方には、学校教材の復習、単語帳、音読、文法問題集、長文演習、先生への質問、個別のサポートなどがあります。どれが一番よいかは、本人の状況で変わります。ここでは、家庭で判断しやすいように、主な選択肢を比べます。
| 戻り方 | 向いている状態 | 注意点 | 最初の一歩 |
|---|---|---|---|
| 教科書本文の音読 | 本文が読めない、発音と意味がつながらない | 長く読みすぎると疲れる | 1日5文を声に出す |
| 学校ワークの解き直し | 定期テスト前、提出物と範囲が明確 | 答え写しだけになりやすい | 間違いに印をつけて翌日もう一度解く |
| 単語の短時間復習 | 英単語を見ても意味が出ない | 書く量だけ増やすと続かない | 10語を声、意味、例文で確認する |
| 文法の例文比較 | 説明を聞いても形が見えない | 用語暗記だけになると使いにくい | 似た2文を並べて違いに線を引く |
| 短い長文演習 | 長文になると途中で止まる | 難しすぎる文章は逆効果になりやすい | 段落ごとに一言メモを書く |
| 先生や個別サポートに相談 | どこで止まるか家庭で分からない | 任せきりにすると家庭で続かない | 返却テストとワークを持って質問する |
テスト前は学校教材を優先する
定期テストが近いときは、学校教材を優先します。教科書本文、学校ワーク、授業プリント、ノート、単語範囲が出題の中心になることが多いからです。新しい教材を増やすと、やった気にはなりますが、学校の範囲とずれて時間を使いすぎることがあります。
学校ワークは、1回解いて終わりにしないことが大切です。間違えた問題に印をつけ、答えを写す前に、どの単語や文法で止まったかを短くメモします。翌日、印のついた問題だけをもう一度解きます。全部を繰り返すより、間違いに絞るほうが負担を下げられます。
基礎の穴が大きいときは音読と例文から戻す
単語も文法も広く不安な場合は、音読と例文比較から始めます。音読は、英語を声に出すことで、単語のつながりや文の区切りに気づきやすくなります。例文比較は、文法を長い説明で覚える前に、形の違いを見る練習になります。
音読は、長くやる必要はありません。教科書本文の5文、または学校ワークの例文5文で十分です。読めない単語に印をつけ、意味を確認し、もう一度読む。慣れてきたら、日本語を見て英文を思い出す、英文を見て意味を言う、主語と動詞に線を引く、と少しずつ増やします。
外部のサポートを考える前に目的を決める
塾や個別指導、オンライン学習などを検討する家庭もあります。サポートが役立つことはありますが、申し込む前に、何を助けてほしいのかを決める必要があります。質問できる環境が必要なのか、毎週の進捗管理が必要なのか、文法の説明を別の言葉で聞きたいのか、長文演習の量を増やしたいのかで、合う形は変わります。
比較するときは、料金や知名度だけでなく、学校教材に合わせてもらえるか、宿題量が本人に合うか、質問しやすいか、体験時に本人が話せるかを見ます。英語が苦手な子にとって、説明が分かりやすいことと同じくらい、分からないと言いやすいことが大切です。
今日から7日で始める立て直し手順
英語を戻す最初の1週間は、広く手を出さず、毎日少しだけ同じ流れを回します。ここで大切なのは、量よりも「何をすればよいか分かる」状態を作ることです。英語が苦手な子は、机に向かった後に迷う時間が長くなりがちです。手順を決めておくと、始める負担が下がります。
- 1日目:範囲表、教科書、ワーク、返却テストを出し、止まる場所を3つに分ける。
- 2日目:教科書本文から5文を選び、声に出して読み、分からない単語に印をつける。
- 3日目:印をつけた単語を10語だけ確認し、例文で意味を見る。
- 4日目:基本文を3つ選び、主語と動詞に線を引く。
- 5日目:学校ワークの間違いだけを5問解き直す。
- 6日目:短い本文を読み、段落ごとに一言メモを書く。
- 7日目:できたこと、まだ止まること、先生に聞くことを分ける。
1日目は勉強より現状確認を優先する
最初の日にいきなり長時間勉強しようとすると、本人が身構えます。1日目は、教材を出して状態を確認するだけでも十分です。教科書のどのページか、ワークのどこが残っているか、返却テストのどの問題で間違えたか、ノートに書いた基本文が読めるかを見ます。
確認したら、「単語」「文法」「長文・本文」の3つに分けてメモします。分からない単語が多い、動詞の形で間違える、長文で時間が足りないなど、本人の言葉で書きます。保護者がきれいに分析しすぎるより、本人が「ここなら少し直せそう」と思える表現にすることが大切です。
2日目から4日目は短い音読と例文に絞る
2日目から4日目は、教科書本文や基本文を短く読みます。声に出すことに抵抗が強い場合は、小さな声でも、口だけ動かす形でも構いません。読みながら、分からない単語に印をつけます。読み方が分からない単語は、先生に確認する候補として残します。
例文を見るときは、文法用語を長く説明するより、似た文を並べます。肯定文と否定文、現在形と過去形、普通の文と疑問文を並べ、変わった場所に線を引きます。自分で説明できなくても、違いを見つける練習を重ねると、問題を解くときの手がかりになります。
5日目から7日目は解き直しと相談メモへ進む
5日目以降は、学校ワークや返却テストの間違いを少しだけ解き直します。新しい問題をたくさん解くより、すでに間違えた問題を再確認するほうが効果を感じやすいです。解けなかった問題は、答えを写すだけでなく、「単語を忘れた」「動詞の形を見落とした」「設問を読み違えた」など一言で原因を書きます。
7日目には、次の週に続けることを決めます。単語10語、本文5文音読、ワーク5問のように、数字を小さくします。学校の先生に聞くことがあれば、質問を一つだけ書きます。「全部分かりません」ではなく、「この文の動詞がどれか分かりません」「この並べ替えで最初に何を見るか知りたいです」と具体化すると、聞きやすくなります。
ケース別に戻る場所を変える
英語の苦手を立て直すときは、本人の状況に合わせて戻る場所を変えます。テスト前なのに長期計画だけを立てても間に合いません。長文が苦手なのに単語だけを増やしても、読み方が変わらないことがあります。親子げんかが増えている場合は、勉強方法の前に会話の負担を下げる必要があります。
テスト前で時間がない場合
テスト前で時間がない場合は、教科書本文、範囲の単語、学校ワークの間違い直しに絞ります。新しい長文問題集や難しい文法問題を広げるより、出題範囲に近いものを繰り返します。本文は全部訳すより、重要表現、基本文、先生が授業で強調したところを確認します。
1日の流れは、単語10語、本文5文音読、ワーク5問解き直しで十分です。時間が残れば増やしますが、最初から2時間の計画にしないほうが続きます。テスト直前は、できない範囲を広げすぎず、取りこぼしを減らすことを優先します。
長文が読めない場合
長文が読めない場合は、単語だけでなく読み方を練習します。最初に設問を見る、段落ごとに話題を一言で書く、分からない単語に印をつけて先へ進む、最後に印を戻って確認する。この流れを短い文章で練習します。長文が苦手な生徒に、いきなり長い文章を毎日読ませると、嫌悪感が強くなることがあります。
読む文章は、今の学年より少しやさしいものでも構いません。大切なのは、最後まで読み切る経験を作ることです。短い文章で、設問を見て、本文を読み、根拠の文に線を引く。この流れが分かると、長い文章でも何をすればよいか見えやすくなります。
リスニングが苦手な場合
リスニングが苦手な場合は、音声を聞く前に文字を確認します。本文を見て知らない単語を減らし、意味を大まかにつかみ、音声を聞き、同じ文をまねて読む。聞こえなかったところは、音がつながっているのか、単語を知らないのか、文の形が分からないのかを分けます。
音声は長く聞き続けるより、短い部分を何度か聞くほうが続きます。教科書の会話文、本文の一段落、授業で使った音声など、学校の範囲に近いものを使います。家庭で発音を細かく直しすぎると本人が話しにくくなるため、まずは意味と音がつながることを優先します。
親子げんかが増えている場合
英語の苦手をめぐって親子げんかが増えている場合は、勉強量より会話の形を先に整えます。「なんで覚えていないの」「前もやったでしょう」と言うと、本人は英語そのものより、英語の話をされる時間を避けるようになります。保護者の不安は自然ですが、言い方を少し変えるだけで、勉強に入る前の摩擦を減らせます。
声かけは、「今日は何ページやるの」より「今日は単語、音読、ワークのどれにする?」と選択肢にします。「点数を上げなさい」より「次のテストまでに落としやすい問題を一つ減らそう」と小さくします。本人が黙り込む場合は、口で説明させるより、丸をつける、線を引く、付箋を貼るなど、手を動かす確認から始めます。
チェックリスト:家庭で今日見ること
- 教科書本文の短い5文を声に出して読めるか。
- 分からない単語を自分で丸で囲めるか。
- 主語と動詞に線を引ける文があるか。
- 学校ワークの間違いを翌日にもう一度見ているか。
- テスト範囲、提出物、先生に聞くことが一か所にまとまっているか。
- 保護者の声かけが反省会だけになっていないか。
よくある質問
Q. 英語が苦手なら、まず単語だけ覚えればよいですか?
A. 単語は大切ですが、単語だけで十分とは限りません。
英語を見て意味が分からない場合は単語から戻します。ただし、単語の意味を知っていても、文の中で動詞の形や語順が分からないと問題で使えません。最初は単語10語、基本文3つ、本文5文音読を組み合わせると、覚えた単語を文の中で使いやすくなります。
Q. 文法が嫌いな子には、どう説明すればよいですか?
A. 用語を増やす前に、似た文を並べて違いを見る方法が始めやすいです。
文法用語を長く説明すると、苦手意識が強くなることがあります。I play. と I played. の違い、She likes. と Does she like? の違いのように、短い例文を並べて変わった場所に線を引きます。用語は必要になったときに少しずつ確認します。
Q. 中学生のうちに英語が苦手だと、高校で取り返せませんか?
A. 取り返せないと決めつける必要はありませんが、戻る場所を絞ることが大切です。
高校英語は語彙や読解量が増えるため、中学内容の不安が残ると負担は大きくなります。ただ、全部を最初からやり直すより、今の英文を読むために必要な中学内容を選んで戻すほうが続けやすいです。主語と動詞、時制、基本的な疑問文・否定文、よく出る接続詞などから確認します。
Q. 塾や個別指導を使ったほうがよい目安はありますか?
A. 家庭で止まる場所が見えない、質問できずに固まる、計画が続かない場合は相談を検討してよいです。
サポートを使うかどうかは、点数だけで決めないほうがよいです。どこで止まるか分からない、学校のワークを開いても手が止まる、質問の仕方が分からない、親子で毎回言い合いになる場合は、学校の先生や外部のサポートに相談する価値があります。申し込む前には、学校教材に合わせられるか、質問しやすいか、本人の負担が増えすぎないかを確認します。
まとめ:英語の苦手は、今日の一歩を小さく決めれば戻せる
英語が苦手な中学生・高校生は、単語、文法、音読、長文のどこから戻すかを分けて考えると、今日やることを決めやすくなります。全部を最初からやり直そうとすると重くなりますが、教科書本文5文、単語10語、ワーク5問のように小さくすれば、始める負担は下がります。
保護者ができる支えは、長い説教や点数の追及ではなく、材料を出すこと、戻る場所を一緒に分けること、今日の一歩を小さくすることです。分からないところが見えたら、先生に聞く、学校ワークを解き直す、必要ならサポートを検討するという順番で進めます。英語への苦手意識はすぐには消えなくても、「昨日より一文読めた」「同じ間違いに気づけた」という経験が増えると、次の学習に入りやすくなります。
次に進むなら、まずは手元の教科書から本文を5文選び、声に出して読んでみてください。止まった単語に丸をつけ、主語と動詞に線を引き、学校ワークの同じ単元を5問だけ解き直します。ここまでできれば、本人に必要なのが単語なのか、文法なのか、長文の読み方なのかが見え始めます。